民事訴訟規則


第一編 総則

 第一章 通則

(申立て等の方式)
第一条  申立てその他の申述は、特別の定めがある場合を除き、書面又は口頭ですることができる。
2 口頭で申述をするには、裁判所書記官の面前で陳述をしなければならない。この場合においては、裁判所書記官は、調書を作成し、記名押印しなければならない。

(当事者が裁判所に提出すべき書面)
第二条 訴状、準備書面その他の当事者もしくは代理人が裁判所に提出すべき書面には、次に掲げる事項を記載し、当事者又は代理人が記名押印するものとする。
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
二 事件の表示
三 附属書類の表示
四 年月日
五 裁判所の表示
2 前項の規定にかかわらず、当事者又は代理人からその住所を記載した同項の書面が提出されているときは、以後裁判所に提出する同項の書面については、これを記載することを要しない。

(裁判所に提出すべき書面のファクシミリによる提出)
第三条 裁判所に提出すべき書面は、次に掲げるものを除き、ファクシミリを利用して送信することにより提出することができる。
一 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定により手数料を納付しなければならない申立てに係る書面
二 その提出により訴訟手続の開始、続行、停止又は完結をさせる書面(前号に該当する書面を除く。)
三 法定代理権、訴訟行為をするのに必要な授権又は訴訟代理人の権限を証明する書面その他訴訟手続上重要な事項を証明する書面
四 上告理由書、上告受理申立て理由書その他これらに準ずる理由書
2 ファクシミリを利用して書面が提出されたときは、裁判所が受信した時に、当該書面が裁判所に提出されたものとみなす。
3 裁判所は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、提出者に対し、送信に使用した書面を提出させることができる。

(催告及び通知)
第四条 民事訴訟に関する手続における催告及び通知は、相当と認める方法によることができる。
2 裁判所書記官は、催告又は通知をしたときは、その旨および催告又は通知の方法を訴訟記録上明らかにしなければならない。
3 催告は、これを受けるべき者の所在が明らかでないとき、又はその者が外国に在るときは、催告すべき事項を公告してすれば足りる。この場合には、その公告は、催告すべき事項を記載した書面を教判所の掲示場その他裁判所内の公衆の見やすい場所に掲示して行う。
4 前項の規定による催告は、公告をした日から一週間を経過した時にその効力を生ず裁判る。
5 この規則の規定による通知(第四十六条(公示送達の方法) 第二項の規定による通知を除く。)は、これを受けるべき者の所在が明らかでないとき、又はその者が外国に在るときは、することを要しない。この場合においては、裁判所書記官は、その事由を訴訟記録上明らかにしなければならない。
6 当事者その他の関係人に対する通知は、裁判所書記官にさせることができる。

(訴訟書類の記載の仕方)
第五条 訴訟書類は、簡潔な文章で整然かつ明瞭に記載しなければならない。

第二章 裁判所

第一節 管轄

(普通裁判籍所在地の指定・法第四条
第六条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号。以下「法」という。) 第四条(普通裁判籍による管轄) 第三項の最高裁判所規則で定める地は、東京都千代田区とする。

(移送の申立ての方式・法第十六条等)
第七条 移送の申立ては、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
2 前項の申立てをするときは、申立ての理由を明らかにしなければならない。

(裁量移送における取扱い・法第十七条等)
第八条 法第十七条(遅滞を避ける等のための移送) 又は第十八条(簡易裁判所の裁量移送) の申立てがあったときは、裁判所は、相手方の意見を聴いて決定をするものとする。
 2 裁判所は、職権により法第十七条 又は第十八条の規定による移送の決定をするときは、当事者の意見を聴くことができる。

(移送による記録の送付・法第二十二条 第九条 移送の裁判が確定したときは、移送の裁判をした裁判所の裁判所書記官は、移送を受けた裁判所の裁判所書記官に対し、訴訟記録を送付しなければならない。

第二節 裁判所職員の除斥、忌避及び回避

(除斥又は忌避の申立ての方式等・法第二十三条等)
第十条 裁判官に対する除斥又は忌避の申立ては、その原因を明示して、裁判官の所属する裁判所にしなければならない。
2 前項の申立ては、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
3 除斥又は忌避の原因は、申立てをした日から三日以内に疎明しなければならない。法第二十四条(裁判官の忌避) 第二項ただし書に規定する事実についても、同様とする。

(除斥又は忌避についての裁判官の意見陳述・法第二十五条
第十一条 裁判官は、その除斥又は忌避の申立てについて意見を述べることができる。

(裁判官の回避)
第十二条 裁判官は、法第二十三条(裁判官の除斥) 第一項又は第二十四条(裁判官の忌避) 第一項に規定する場合には、監督権を有する裁判所の許可を得て、回避することができる。

(裁判所書記官への準用等・法第二十七条
第十三条 この節の規定は、裁判所書記官について準用する。この場合において、簡易裁判所の裁判所書記官の回避の許可は、その裁判所書記官の所属する裁判所の裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十七条(司法行政事務)に規定する裁判官がする。


第三章 当事者

第一節 当事者能力及び訴訟能力

(法人でない社団等の当事者能力の判断資料の提出・法第二十九条
第十四条 裁判所は、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものとして訴え、又は訴えられた当事者に対し、定款、寄附行為その他の当該当事者の当事者能力を判断するために必要な資料を提出させることができる。

(法定代理権等の証明・法第三十四条
第十五条 法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権は、書面で証明しなければならない。選定当事者の選定及び変更についても、同様とする。

(特別代理人の選任及び改任の裁判の告知・法第三十五条
第十六条 特別代理人の選任及び改任の裁判は、特別代理人にも告知しなければならない。

(法定代理権の消滅等の届出・法第三十六条
第十七条 法定代理権の消滅の通知をした者は、その旨を裁判所に書面で届け出なければならない。選定当事者の選定の取消し及び変更の通知をした者についても、同様とする。

(法人の代表者等への準用・法第三十七条
第十八条 この規則中法定代理及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者及び法人でない社団又は財団でその名において訴え、又は訴えられることができるものの代表者又は管理人について準用する。

第二節 共同訴訟

(同時審判の申出の撤回等・法第四十一条
第十九条 法第四十一条(同時審判の申出がある共同訴訟) 第一項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までは、いつでも撤回することができる。
 2 前項の申出及びその撤回は、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。

第三節 訴訟参加

(補助参加の申出書の送達等・法第四十三条等)
第二十条 補助参加の申出書は、当事者双方に送達しなければならない。
2 前項に規定する送達は、補助参加の申出をした者から提出された副本によってする。
3 前項の規定は、法第四十七条 (独立当事者参加)第一項及び第五十二条(共同訴訟参加) 第一項の規定による参加の申出書の送達について準用する。

(訴訟引受けの申立ての方式・法第五十条等)
第二十一条 訴訟引受けの申立ては、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。

(訴訟告知書の送達等・法第五十三条
第二十二条 訴訟告知の書面は、訴訟告知を受けるべき者に送達しなければならない。
2 前項に規定する送達は、訴訟告知をした当事者から拠出された副本によってする。
3 裁判所は、第一項の書面を相手方に送付しなければならない。

第四節 訴訟代理人

(訴訟代理権の証明等・法第五十四条等)
第二十三条 訴訟代理人の権限は、書面で証明しなければならない。
2 前項の書面が私文書であるときは、裁判所は、公証人その他の認証の権限を有する公務員の認証を受けるべきことを訴訟代理人に命ずることができる。
3 訴訟代理人の権限の消滅の通知をした者は、その旨を裁判所に書面で届け出なければならない。


第四章 訴訟費用

第一節 訴訟費用の負担

(訴訟費用額の確定等を求める申立ての方式等・法第七十一条等)
第二十四条 法第七十一条 (訴訟費用額の確定手続)第一項、 第七十二条(和解の場合の費用額の確定手続) 又は第七十三条(訴訟が裁判及び和解によらないで完結した場合等の取扱い) 第一項の申立ては、書面でしなければならない。
2 前項の申立てにより訴訟費用又は和解の費用(以下この節において「訴訟費用等」という。)の負担の額を定める処分を求めるときは、当事者は、費用計算書及び費用額の疎明に必要な書面を裁判所書記官に提出するとともに、同項の書面及び費用計算書について第四十七条(書類の送付) 第一項の直送をしなければならない。

(相手方への催告等・法第七十一条等)
第二十五条 裁判所書記官は、訴訟費用等の負担の額を定める処分をする前に、相手方に対し、費用計算書及び費用額の疎明に必要な書面並ぴに申立人の費用計算書の記載内容についての陳述を記載した書面を、一定の期間内に提出すべき旨を催告しなければならない。
2 相手方が前項の期間内に費用計算書又は費用額の疎明に必要な書面を提出しないときは、裁判所書記官は、申立人の費用のみについて、訴訟費用等の負担の額を定める処分をすることができる。ただし、相手方が訴訟費用等の負担の額を定める処分を求める申立てをすることを妨げない。

(費用額の確定処分の方式・法第七十一条等)
第二十六条 訴訟費用等の負担の額を定める処分は、これを記載した書面を作成し、その書面に処分をした裁判所書記官が記名押印してしなければならない。

法第七十一条第二項の最高裁判所規則で定める場合)
第二十七条 法第七十一条(訴訟費用額の確定手続) 第二項の最高裁判所規則で定める場合は、相手方が第二十五条(相手方への催告等) 第一項の期間内に同項の費用計算書又は費用額の疎明に必要な書面を提出しない場合とする。

(費用額の確定処分の更正の申立ての方式・法第七十四条
第二十八条 訴訟費用等の負担の額を定める処分の更正の申立ては、書面でしなければならない。

第二節 訴訟費用の担保

法第七十六条の最高裁判所規則で定める担保提供の方法)
第二十九条 法第七十六条(担保提供の方法) の規定による担保は、裁判所の許可を得て、担保を立てるべきことを命じられた者が銀行、保険会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、全国を地区とする信用金庫連合会、信用金庫又は労働金庫(以下この条において「銀行等」という。)との間において次に掲げる要件を満たす支払保証委託契杓を締結する方法によって立てることができる。
 一 銀行等は、担保を立てるべきことを命じられた者のために、裁判所が定めた金額を限度として、担保に係る訴訟費用償還請求権についての債務名義又はその訴訟費用償還請求権の存在を確認するもので、確定判決と同一の効力を有するものに表示された額の金銭を担保権利者に支払うものであること。
 二 担保取消しの決定が確定した時に契約の効力が消滅するものであること。
 三 契約の変更又は解除をすることができないものであること。
 四 担保権利者の申出があったときは、銀行等は、契約が締結されたことを証する文書を担保権利者に提出するものであること。
2 前項の規定は、法第八十一条(他の法令による担保への準用) 第二百五十九条(仮執行の宣言) 第六項(法において準用する場合を含む。)、 第三百七十六条(仮執行の宣言) 第二項及び第四百条(担保の提供) 第二項(他の法令において準用する場合を含む。)並びに他の法令において準用する法第七十六条(担保提供の方法) の最高裁判所規則で定める担保提供の方法について準用する。この場合において、前項第一号中「訴訟費用償還請求権」とあるのは「請求権」と、「確認するもので、確定判決」とあるのは「確認する確定判決若しくはこれ」と読み替えるものとする。

第三節 訴訟上の救助

(救助の事由の疎明・法第八十二条
第三十条 訴訟上の救助の事由は、疎明しなければならない。


第五章 訴訟手続

(受命裁判官の指定及び裁判所の嘱託の手続)
第三十一条 受命裁判官にその職務を行わせる場合には、裁判長がその裁判官を指定する。
2 裁判所がする嘱託の手続は、特別の定めがある場合を除き、裁判所書記官がする。

(和解のための処置・法第八十九条
第三十二条 裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、和解のため、当事者本人又はその法定代理人の出頭を命ずることができる。
2 裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、相当と認めるときは、裁判所外において和解をすることができる。

(訴訟記録の正本等の様式・法第九十一条
第三十三条 訴訟記録の正本、謄本又は抄本には、正本、謄本又は抄本であることを記載し、裁判所書記官が記名押印しなければならない。

(閲覧等の制限の申立ての方式等・法第九十二条
第三十四条 秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができる者を当事者に限る決定を求める旨の申立ては、書面で、かつ、訴訟記録中の秘密記載部分を特定してしなければならない。
2 前項の決定においては、訴訟記録中の秘密記載部分を特定しなければならない。

(受命裁判官等の期日指定・法第九十三条
第三十五条 受命裁判官又は受託裁判官が行う手続の期日は、その裁判官が指定する。

(期日変更の申立て・法第九十三条
第三十六条 期日の変更の申立ては、期日の変更を必要とする事由を明らかにしてしなければならない。

(期日変更の制限・法第九十三条
第三十七条 期日の変更は、次に掲げる事由に基づいては許してはならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。
 一 当事者の一方につき訴訟代理人が数人ある場合において、その一部の代理人について変更の事由が生じたこと。
 二 期日指定後にその期日と同じ日時が他の事件の期日に指定されたこと。
(裁判長等が定めた期間の伸縮・法第九十六条
第三十八条 裁判長、受命裁判官又は受託裁判官は、その定めた期間を仲長し、又は短縮することができる。

第三節 送達等

(送達に関する事務の取扱いの嘱託・法第九十八条
第三十九条 送達に関する事務の取扱いは、送達地を管轄する地方裁判所の裁判所書記官に嘱託することができる。

(送達すべき書類等・法第百一条
第四十条 送達すべき書類は、特別の定めがある場合を除き、当該書類の謄本又は副本とする。
2 送達すべき書類の提出に代えて調書を作成したときは、その調書の謄本又は抄本を交付して送達をする。

(送達場所等の居出の方式・法第百四条
第四十一条 送達を受けるべき場所の届出及び送達受取人の届出は書面でしなければならない。
2 前項の届出は、できる限り、訴状、答弁書又は支払督促に対する督促異議の申立書に記載してしなければならない。
3 送達を受けるべき場所を届け出る書面には、届出場所が就業場所であることその他の当事者、法定代理人又は訴訟代理人と届出場所との関係を明らかにする事項を記載しなければならい。

(送達場所等の変更の届出,法第百四条
第四十二条 当事者、法定代理人又は訴訟代理人は、送達を受けるべき場所として届け出た場所又は送達受取人として届け出た者を変更する届出をすることができる。
2 前条(送達場所等の届出の方式)第一項及び第三項の規定は、前項に規定する変更の届出について準用する。

(就業場所における補充送達の通知・法第百六条
第四十三条 法第百六条(補充送達及び差置送達) 第二項の規定による補充送達がされたときは、裁判所書記官は、その旨を送達を受けた者に通知しなければならない。

(書留郵便に付する送達の通知・法第百七条
第四十四条 法第百七条(書留郵便に付する送達) 第一項又は第二項の規定による書留郵便に付する送達をしたときは、裁判所書記官は、その旨及び当該書類について書留郵便に付して発送したときに送達があったものとみなされることを送達を受けた者に通知しなければならない。

(受命裁判官等の外国における送達の権限・法第百八条
第四十五条 受命裁判官又は受託裁判官が行う手続において外国における送達をすべきときは、その裁判官も法第百八条(外国における送達) に規定する嘱託をすることができる。

(公示送達の方法・法第百十一条
第四十六条 呼出状の公示送達は、呼出状を掲示場に掲示してする。
2 裁判所書記官は、公示送達があったことを官報又は新聞紙に掲載することができる。外国においてすべき送達については、裁判所書記官は、官報又は新聞紙への掲載に代えて、公示送達があったことを通知することができる。

(書類の送付)
第四十七条 直送(当事者の相手方に対する直接の送付をいう。以下同じ。)その他の送付は、送付すべき書類の写しの交付又はその書類のファクシミリを利用しての送信によってする。
2 裁判所が当事者その他の関係人に対し送付すべき書類の写しの交付又はその書類の送付に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
3 裁判所が当事者の提出に係る書類の相手方への送付をしなければならない場合(送達をしなければならない場合を除く。)において、当事者がその書類について直送をしたときは、その送付は、することを要しない。
4 当事者が直送をしなければならない書類について、直送を困難とする事由その他相当とする事由があるときは、当該当事者は、裁判所に対し、当該書類の相手方への送付(準備書面については、送達又は送付)を裁判所書記官に行わせるよう申し出ることができる。

第四節 裁判

(判決確定証明書・法第百十六条
第四十八条 第一審裁判所の裁判所書記官は当事者又は利害関係を疎明した第三者の請求により、訴訟記録に基づいて判決の確定についての証明書を交付する。
2 訴訟がなお上訴審に係属中であるときは、前項の規定にかかわらず、上訴裁判所の裁判所書記官が判決の確定した部分のみについて同項の証明書を交付する。

法第百十七条第一項の訴えの訴状の添付書類
第四十九条 法第百十七条(定期金による賠償を命じた確定判決の変更を求める訴え) 第一項の訴えの訴状には、変更を求める確定判決の写しを添付しなければならない。

(決定及び命令の方式等・法第百十九条等)
第五十条 決定書及び命令書には、決定又は命令をした裁判官か記名押印しなければならない。
2 決定又は命令の告知がされたときは、裁判所書記官は、その旨及び告知の方法を訴訟記録上明らかにしなければならない。
3 決定及び命令には、前二項に規定するはか、その性質に反しない限り、判決に関する規定を準用する。

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