民事訴訟法(平成8年改正法)

第351条より
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第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則 (承前)

(反訴の禁止)
第三百五十一条  手形訴訟においては、反訴を提起することができない。
旧 445 条

(証拠調べの制限)
第三百五十二条  手形訴訟においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。
2 文書の提出の命令又は送付の嘱託は、することができない。対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える物件の提出の命令又は送付の嘱託についても、同様とする。
3 文書の成立の真否又は手形の提示に関する事実については、申立てにより、当事者本人を尋問することができる。
4 証拠調べの嘱託は、することができない。第百八十六条の規定による調査の嘱託についても、同様とする。
5 前各項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
旧 446 条

(通常の手続への移行)
第三百五十三条  原告は、口頭弁論の終結に至るまで、被告の承諾を要しないで、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。
2 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
3 前項の場合には、裁判所は、直ちに、訴訟が通常の手続に移行した旨を記載した書面を被告に送付しなければならない。ただし、第一項の申述が被告の出頭した期日において口頭でされたものであるときは、その送付をすることを要しない。
4 第二項の場合には、手形訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
旧 447 条

(口頭弁論の終結)
第三百五十四条  裁判所は、被告が口頭弁論において原告が主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合には、前条第三項の規定による書面の送付前であっても、口頭弁論を終結することができる。
旧 448 条

(口頭弁論を経ない訴えの却下)
第三百五十五条  請求の全部又は一部が手形訴訟による審理及び裁判をすることができないものであるときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えの全部又は一部を却下することができる。
2 前項の場合において、原告が判決書の送達を受けた日から二週間以内に同項の請求について通常の手続により訴えを提起したときは、第百四十七条の規定の適用については、その訴えの提起は、前の訴えの提起の時にしたものとみなす。
旧 449 条

(控訴の禁止)
第三百五十六条  手形訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。ただし、前条第一項の判決を除き、訴えを却下した判決に対しては、この限りでない。
旧 450 条

(異議の申立て)
第三百五十七条  手形訴訟の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、判決書又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
旧 451 条 】【 新規則217条

(異議申立権の放棄)
第三百五十八条  異議を申し立てる権利は、その申立て前に限り、放棄することができる。
旧 453 条 1 項】【 新規則218条

(口頭弁論を経ない異議の却下)
第三百五十九条  異議が不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、異議を却下することができる。
旧455条

(異議の取下げ)
第三百六十条  異議は、通常の手続による第一審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
2 異議の取下げは、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
3  第二百六十一条第三項から第五項まで、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条の規定は、異議の取下げについて準用する。
旧 452 条

(異議後の手続)
第三百六十一条  適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
旧 456 条

(異議後の判決)
第三百六十二条  前条の規定によってすべき判決が手形訴訟の判決と符合するときは、裁判所は、手形訴訟の判決を認可しなければならない。ただし、手形訴訟の判決の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により手形訴訟の判決を認可する場合を除き、前条の規定によってすべき判決においては、手形訴訟の判決を取り消さなければならない。
旧 457 条 】【 新規則219条

(異議後の判決における訴訟費用)
第三百六十三条  異議を却下し、又は手形訴訟においてした訴訟費用の負担の裁判を認可する場合には、裁判所は、異議の申立てがあった後の訴訟費用の負担について裁判をしなければならない。
2 第二百五十八条第四項の規定は、手形訴訟の判決に対し適法な異議の申立てがあった場合について準用する。
旧 458 条

(事件の差戻し)
第三百六十四条  控訴裁判所は、異議を不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
旧 460 条

(訴え提起前の和解の手続から手形訴訟への移行)
第三百六十五条  第二百七十五条第二項後段の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、同項前段の申立ての際にしなければならない。
旧 461 条

(督促手続から手形訴訟への移行)
第三百六十六条  第三百九十五条又は第三百九十七条第三項の規定により提起があったものとみなされる訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、支払督促の申立ての際にしなければならない。
旧 462 条 1 項
2  第三百九十一条第一項の規定による仮執行の宣言があったときは、前項の申述は、なかったものとみなす。
旧 462 条 3 項 】【 新規則220条

(小切手訴訟)
第三百六十七条  小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、小切手訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
2  第三百五十条第二項及び第三百五十一条から前条までの規定は、小切手訴訟に関して準用する。
旧 463 条 】【 新規則221条

第六編 少額訴訟に関する特則


(少額訴訟の要件等)
第三百六十八条  簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が三十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
3 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。
新設  【 新規則222条 225条

(反訴の禁止)
第三百六十九条  少額訴訟においては、反訴を提起することができない。
新設

(一期日審理の原則)
第三百七十条  少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。
2 当事者は、前項の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。ただし、口頭弁論が続行されたときは、この限りでない。
新設

(証拠調べの制限)
第三百七十一条  証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。
新設

(証人等の尋問)
第三百七十二条  証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。
2 証人又は当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序でする。
3 裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人を尋問することができる。
新設  【 新規則226条 227条

(通常の手続への移行)
第三百七十三条  被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。
2 訴訟は、前項の申述があった時に、通常の手続に移行する。
3 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
一  第三百六十八条第一項の規定に違反して少額訴訟による審理及び裁判を求めたとき。
二  第三百六十八条第三項の規定によってすべき届出を相当の期間を定めて命じた場合において、その届出がないとき。
三 公示送達によらなければ被告に対する最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しをすることができないとき。
四 少額訴訟により審理及び裁判をするのを相当でないと認めるとき。
4 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
5 訴訟が通常の手続に移行したときは、少額訴訟のため既に指定した期日は、通常の手続のために指定したものとみなす。
新設  【 新規則228条

(判決の言渡し)
第三百七十四条  判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。
2 前項の場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。この場合においては、第二百五十四条第二項及び第二百五十五条の規定を準用する。
新設  【 新規則229条

(判決による支払の猶予)
第三百七十五条  裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。
2 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
3 前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
新設

(仮執行の宣言)
第三百七十六条  請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。
2  第七十六条第七十七条第七十九条及び第八十条の規定は前項の担保について準用する。
新設  【 新規則29条

(控訴の禁止)
第三百七十七条  少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。
新設

(異議)
第三百七十八条  少額訴訟の終局判決に対しては、判決書又は第二百五十四条第二項(第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
2  第三百五十八条から第三百六十条までの規定は、前項の異議について準用する。
新設  【 新規則230条

(異議後の審理及び裁判)
第三百七十九条  適法な異議があったときは、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
2  第三百六十二条第三百六十三条第三百六十九条第三百七十二条第二項及び第三百七十五条の規定は、前項の審理及び裁判について準用する。
新設  【 新規則231条

(異議後の判決に対する不服申立て)
第三百八十条  第三百七十八条第二項において準用する第三百五十九条又は前条第一項の規定によってした終局判決に対しては、控訴をすることができない。
2  第三百二十七条の規定は、前項の終局判決について準用する。
新設

(過料)
第三百八十一条  少額訴訟による審理及び裁判を求めた者が第三百六十八条第三項の回数について虚偽の届出をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過科に処する。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
3  第百八十九条の規定は、第一項の規定による過料の裁判について準用する。
新設

第七編 督促手続


(支払督促の要件)
第三百八十二条  金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。
旧 430 条 変更 】

(支払督促の申立て)
第三百八十三条  支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
2 次の各号に掲げる請求についての支払督促の申立ては、それぞれ当該各号に定める地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してもすることができる。
一 事務所又は営業所を有する者に対する請求でその事務所又は営業所における業務に関するもの 当該事務所又は営業所の所在地
二 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する請求 手形又は小切手の支払地
旧 431 条 変更 】

(訴えに関する規定の準用)
第三百八十四条  支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。
旧 432 条 】【 新規則232条

(申立ての却下)
第三百八十五条  支払督促の申立てが第三百八十二条若しくは第三百八十三条の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする。
旧 433 条 1 項
2 前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
新設
3 前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
新設
4 前項の異議の申立てについての裁判に対して、不服を申し立てることができない。
新設

(支払督促の発付等)
第三百八十六条  支払督促は、債務者を審尋しないで発する。
2 債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
旧 434 条

(支払督促の記載事項)
第三百八十七条  支払督促には、次に掲げる事項を記載し、かつ、債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨を付記しなければならない。
一  第三百八十二条の給付を命ずる旨
二 請求の趣旨及び原因
三 当事者及び法定代理人
旧 435 条 変更 】【 新規則233条

(支払督促の送達)
第三百八十八条  支払督促は、債務者に送達しなければならない。
旧 436 条
2 支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる。
新設
 3 債権者が申し出た場所に債務者の住所、居所、営業所若しくは事務所又は就業場所がないため、支払督促を送達することができないときは、裁判所書記官は、その旨を債権者に通知しなければならない。この場合において、債権者が通知を受けた日から二月の不変期間内にその申出に係る場所以外の送達をすべき場所の申出をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなす。
新設  【 新規則234条

(支払督促の更正)
第三百八十九条  第七十四条第一項及び第二項の規定は、支払督促について準用する。
2 仮執行の宣言後に適法な督促異議の申立てがあったときは、前項において準用する第七十四条第一項の規定による更正の処分に対する異議の申立ては、することができない。
新設

(仮執行の宣言前の督促異議)
第三百九十条  仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
旧 437 条

(仮執行の宣言)
第三百九十一条  債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。
旧 438 条 1 項】
2 仮執行の宣言は、支払督促に記載し、これを当事者に送達しなければならない。
旧 438 条 2 項 】
3  第三百八十五条第二項及び第三項の規定は、第一項の申立てを却下する処分及びこれに対する異議の申立てについて準用する。
新設
4 前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
新設
5  第二百六十条及び第三百八十八条第二項の規定は、第一項の仮執行の宣言について準用する。
新設  【 新規則235条 236条

(期間の徒過による支払督促の失効)
第三百九十二条  債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から三十日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。
旧 439 条

(仮執行の宣言後の督促異議)
第三百九十三条  仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から二週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない。
旧 440 条

(督促異議の却下)
第三百九十四条  簡易裁判所は、督促異議を不適法であると認めるときは、督促異議に係る請求が地方裁判所の管轄に属する場合においても、決定で、その督促異議を却下しなければならない。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
旧 441 条

(督促異議の申立てによる訴訟への移行)
第三百九十五条  適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合においては、督促手続の費用は、訴訟費用の一部とする。
旧 442 条 変更 】【 新規則237条

(支払督促の効力)
第三百九十六条  仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。
旧 443 条

(電子情報処理組織を用いて取り扱う督促手続の特則)
第三百九十七条  電子情報処理組織を用いて督促手続を取り扱う裁判所として最高裁判所規則で定める簡易裁判所の裁判所書記官に対しては、第三百八十三条の規定による場合のほか、同条に規定する簡易裁判所が別に最高裁判所規則で定める簡易裁判所である場合にも、電子情報処理組織を用いて取り扱う督促手続における支払督促の申立てをすることができる。
2 前項の申立ては、 最高裁判所規則で定める方式に適合するものでなければならない。
3  第一項に規定する督促手続における支払督促に対し適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、第三百八十三条に規定する簡易裁判所で支払督促を発した裁判所書記官の所属するもの若しくは同項の別に最高裁判所規則で定めるもの又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。
4 前項の場合において、同項に規定する簡易裁判所又は地方裁判所が二以上あるときは、督促異議に係る請求については、これらの裁判所中に第三百八十三条第一項に規定する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所がある場合にはその裁判所に、その裁判所がない場合には同条第二項第一号に定める地を管轄する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。ただし、債権者が、 最高裁判所規則で定めるところにより、前項に規定する簡易裁判所又は地方裁判所中その一を指定したときは、その裁判所に訴えの提起があったものとみなす。
新設  【 新規則238条

第八編 執行停止


(執行停止の裁判)
第三百九十八条  次に掲げる場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てて強制執行の開始若しくは続行をすべき旨を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。ただし、強制執行の開始又は続行をすべき旨の命令は、第三号から第六号までに掲げる場合に限り、することができる。
一  第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の上告又は再審の訴えの提起があった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
旧 500 条 1 項 変更 】
二 仮執行の宣言を付した判決に対する上告の提起又は上告受理の申立てがあった場合において、原判決の破棄の原因となるべき事情及び執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
旧 511 条 変更 】
三 仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立て(次号の控訴の提起及び督促異議の申立てを除く。)があった場合において、原判決若しくは支払督促の取消し若しくは変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
旧 512 条 変更 】
四 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求について、仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合において、原判決又は支払督促の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
旧 512 条の2  1項 変更 】
五 仮執行の宣言を付した手形訴訟若しくは小切手訴訟の判決に対する異議の申立て又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決に対する異議の申立てがあった場合において、原判決の取消し又は変更の原因となるべき事情につき疎明があったとき。
旧 512 条の2  2 項 変更 】
六  第百十七条第一項の訴えの提起があった場合において、変更のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったとき。
新設
2 前項に規定する申立てについての裁判に対しては不服を申し立てることができない。
旧 500 条 3 項 変更 】【 新規則239条

(原裁判所による裁判)
第三百九十九条  第二百二十七条第一項の上告の提起、仮執行の宣言を付した判決に対する上告の提起若しくは上告受理の申立て又は仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起があった場合において、訴訟記録が原裁判所に存するときは、その裁判所が、前条第一項に規定する申立てについての裁判をする。
2 前項の規定は、仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合について準用する。
旧 500 条 4 項

(担保の提供)
第四百条  この編の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
2  第七十六条第七十七条第七十九条及び第八十条の規定は前項の担保について準用する。
旧 513 条 】【 新規則29条

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中村壽宏 、町村泰貴
URL:http://www.res.otaru-uc.ac.jp/~matimura/