民事訴訟規則
(証拠調べの準備)
第百一条
争点及び証拠の整理手続を経た事件については、裁判所は、争点及び証拠の整理手続の終了又は終結後における最初の口頭弁論の期日において、直ちに証拠調べをすることができるようにしなけれぱならない。
(文書等の提出時期)
第百二条
証人等の尋間において使用する予定の文書は、証人等の陳述の信用性を争うための証拠として使用するものを除き、その証人等の尋問を開始する時の相当期間前までに、提出しなければならない。ただし、当該文書を提出することができないときは、その写しを提出すれば足りる。
(外国における証拠調べの嘱託の手続・
法第百八十四条
)
第百三条
外国においてすべき証拠調べの嘱託の手続は、裁判長がする。
(証拠調べの再嘱託の通知・
法第百八十五条
)
第百四条
受託裁判官が他の地方裁判所又は簡易裁判所に更に証拠調べの嘱託をしたときは、受託裁判官の所属する裁判所の裁判所書記官は、その旨を受訴裁判所及び当事者に通知しなければならない。
(嘱託に基づく証拠調べの記録の送付・
法第百八十五条
)
第百五条
受託裁判官の所属する裁判所の裁判所書記官は、受訴裁判所の裁判所書記官に対し、証拠調べに関する記録を送付しなければならない。
第二節 証人尋問
(証人尋問の申出)
第百六条
証人尋問の申出は、証人を指定し、かつ、尋問に要する見込みの時間を明らかにしてしなければならない。
(尋問事項書)
第百七条
証人尋問の申出をするときは、同時に、尋問事項書(尋間事項を記載した書面をいう。以下同じ。)二通を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるとさは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。
2 尋問事項書は、できる限り、個別的かつ具体的に記載しなければならない。 3 第一項の申出をする当事者は、尋問事項書について直送をしなければならない。
(呼出状の記載事項等)
第百八条
証人の呼出状には、次に掲げる事項を記載し、尋問事項書を添付しなければならない。
一 当事者の表示
二 出頭すべき日時及び場所
三 出頭しない場合における法律上の制裁
(証人の出頭の確保)
第百九条
証人を尋問する旨の決定があったときは、尋問の申出をした当事者は、証人を期日に出頭させるように努めなければならない。
(不出頭の届出)
第百十条
証人は、期日に出頭することができない事由が生じたときは、直ちに、その事由を明らかにして届け出なければならない。
(勾引・
法第百九十四条
)
第百十一条
刑事訴訟規則(昭和二十三年最高裁判所規則第三十二号)中勾引に関する規定は、正当な理由なく出頭しない証人の勾引について準用する。
(宣誓・
法第二百一条
)
第百十二条
証人の宣誓は、尋問の前にさせなければならない。ただし、特別の事由があるときは、尋問の後にさせることができる。
2 宣誓は、起立して厳粛に行わなければならない。
3 裁判長は、証人に宣誓書を朗読させ、かつ、これに署名押印させなければならない。証人が宣誓書を朗読することができないときは、裁判長は、裁判所書記官にこれを朗読させなければならない。
4 前項の宣誓書には、良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、また、何事も付け加えないことを誓う旨を記載しなければならない。
5 裁判長は、宣誓の前に、宣誓の趣旨を説明し、かつ、偽証の罰を告げなければならない。
(尋問の順序・
法第二百二条
)
第百十三条
当事者による証人の尋問は、次の順序による。
一 尋問の申出をした当事著の尋問(主尋問)
二 相手方の尋問(反対尋問)
三 尋問の申出をした当事者の再度の尋問(再主尋問)
2 当事者は、裁判長の許可を得て、更に尋問をすることができる。 3 裁判長は、
法第二百二条
(尋問の順序)第一項及び第二項の規定によるほか、必要があると認めるときは、いつでも、自ら証人を尋問し、又は当事者の尋問を許すことができる。
4 陪席裁判官は、裁判長に告げて、証人を尋問することができる。
(質問の制限)
第百十四条
次の各号に掲げる尋問は、それぞれ当該各号に定める事項について行うものとする。
一
主尋問
立証すべき事項及びこれに関連する事項
二
反対尋問
主尋問に現れた事項及びこれに関連する事項並びに証言の信用性に関する事項
三
再主尋問
反対尋問に現れた事項及びこれに関連する事項
2 裁判長は、前項各号に掲げる尋問における質問が同項各号に定める事項以外の事項に関するものであって相当でないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを制限することができる。
第百十五条
質問は、できる限り、個別的かつ具体的にしなければならない。
2 当事者は、次に掲げる質問をしてはならない。ただし、第二号から第六号までに掲げる質問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 証人を侮辱し、又は困惑させる質問
二 誘導質問
三 既にした質問と重複する質問
四 争点に関係のない質問
五 意見の陳述を求める質問
六 証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
3 裁判長は、質問が前項の規定に違反するものであると認めるときは、申立てにより又は職権で、これを制限することができる。
(文書等の質問への利用)
第百十六条
当事者は、裁判長の許可を得て、文書、図面、写真、模型、装置その他の適当な物件(以下この条において「文書等」という。)を利用して証人に質問することができる。
2 前項の場合において、文書等が証拠調べをしていないものであるときは、当該質問の前に、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。
3 裁判長は、調書への添付その他必要があると認めるときは、当事者に対し、文書等の写しの提出を求めることができる。
(異議・
法第二百二条
)
第百十七条
当事者は、
第百十三条(尋問の順序)
第二項及び第三項、
第百十四条(質問の制限)
第二項、
第百十五条(質間の制限)
第三項並びに前条(文書等の質問への利用)第一項の規定による裁判長の裁判に対し、異議を述べることができる。
2 前項の異議に対しては、裁判所は、決定で、直ちに裁判をしなければならない。
(対質)
第百十八条
裁判長は、必要があると認めるときは、証人と他の証人との対質を命ずることができる。
2 前項の規定により対質を命じたときは、その旨を調書に記載させなければならない。 3 対質を行うときは、裁判長がまず証人を尋問することができる。
(文字の筆記等)
第百十九条
裁判長は、必要があると認めるときは、証人に文字の筆記その他の必要な行為をさせることができる。
(後に尋問すべき証人の取扱い)
第百二十条
裁判長は、必要があると認めるときは、後に尋問すべき証人に在廷を許すことができる。
(傍聴人の退廷)
第百二十一条
裁判長は、証人が特定の傍聴人の面前においては威圧され十分な陳述をすることができないと認めるときは、当事者の意見を聴いて、その証人が陳述する間、その傍聴人を退廷させる ことができる。
(書面による質問又は回答の朗読・
法第百五十四条
)
第百二十二条
耳が間こえない証人に書面で質問したとき、又は口がきけない証人に書面で答えさせたときは、裁判長は、裁判所書記官に質問又は回答を記載した書面を朗読させることができる。
(映像等の送受信による通話の方法による尋問・
法第二百四条
)
第百二十三条
法第二百四条(映像等の送受信による通話の方法による尋問)
に規定する方法による尋問は、当事者の意見を聴いて、当事者を受訴裁判所に出頭させ、証人を当該尋問に必要な装置の設置された他の裁判所に出頭させてする。
2 前項の尋問をする場合には、文書の写しを送信してこれを提示することその他の尋問の実施に必要な処置を行うため、ファクシミリを利用することができる。
3 第一項の尋問をしたときは、その旨及び証人が出頭した裁判所を調書に記載しなければならない。
(書面尋問・
法第二百五条
)
第百二十四条
法第二百五条(尋問に代わる書面の提出)
の規定により証人の尋問に代えて書面の提出をさせる場合には、裁判所は、尋問の申出をした当事者の相手方に対し、当該書面において回答を希望する事項を記載した書面を提出させることができる。
2 裁判長は、証人が尋問に代わる書面の提出をすべき期間を定めることができる。
3 証人は、前項の書面に署名押印しなければならない。
(受命裁判官等の権限・
法第二百六条
)
第百二十五条
受命裁判官又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
第三節 当事者尋問
(対質)
第百二十六条
裁判長は、必要があると認めるときは、当事者本人と、他の当事者本人又は証人との対質を命ずることができる。
(証人尋問の規定の準用・
法第二百十条
)
第百二十七条
前節(証人尋問)の規定は、特別の定めがある場合を除き、当事者本人の尋問について準用する。ただし、
第百十一条(勾引)
、
第百二十条(後に尋問すべき証人の取扱い)
及び
第百二十四条(書面尋問)
の規定は、この限りでない。
(法定代理人の尋問・
法第二百十一条
)
第百二十八条
この規則中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用する。
第四節 鑑定
(鑑定事項)
第百二十九条
鑑定の申出をするときは、同時に、鑑定を求める事項を記載した書面を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。
2 前項の申出をする当事者は、同項の書面について直送をしなければならない。
3 相手方は、第一項の書面について意見があるときは、意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
4 裁判所は、第一項の書面に基づき、前項の意見も考慮して、鑑定事項を定める。この場合においては、鑑定事項を記載した書面を鑑定人に送付しなければならない。
(忌避の申立ての方式・
法第二百十四条
)
第百三十条
鑑定人に対する忌避の申立ては、期日においてする場合を除き、書面でしなけれぱならない。
2 忌避の原因は、疎明しなければならない。
(宣誓の方式)
第百三十一条
宣誓書には、良心に従って誠実に鑑定をすることを誓う旨を記載しなければならない。
2 鑑定人の宣誓は、宣誓書を裁判所に提出する方式によってもさせることができる。この場合における裁判長による宣誓の趣旨の説明及び虚偽鑑定の罰の告知は、これらの事項を記載した書面を鑑定人に送付する方法によって行う。
(鑑定人の陣述の方式・
法第二百十五条
)
第百三十二条
裁判長は、鑑定人に、共同して又は各別に、意見を述べさせることができる。
(鑑定人の発問等)
第百三十三条
鑑定人は、鑑定のため必要があるときは、審理に立ち会い、裁判長に証人若しくは当事者本人に対する尋問を求め、又は裁判長の許可を得て、これらの者に対し直接に問いを発することができる。
(証人尋問の規定の準用・
法第二百十六条
)
第百三十四条
第二節(証人尋問)の規定は、特別の定めがある場合を除き、鑑定について準用する。ただし、
第百十一条(勾引)
及び
第百二十四条(書面尋問)
の規定は、この限りでない。
(鑑定証人・
法第二百十七条
)
第百三十五条
鑑定証人の尋問については、証人尋問に関する規定を適用する。
(鑑定の嘱託への準用・
法第二百十八条
)
第百三十六条
この節の規定は、宣誓に関する規定を除き、鑑定の嘱託について準用する。
第五節 書証
(書証の申出等・
法第二百十九条
)
第百三十七条
文書を提出して書証の申出をするときは、当該申出をする時までに、その写し二通(当該文書を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書二通(当該書面を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。
2 前項の申出をする当事者は、相手方に送付すべき文書の写し及びその文書に係る証拠説明書について直送をすることができる。
(訳文の添付等)
第百三十八条
外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取調べを求める部分についてその文書の訳文を添付しなければならない。この場合において、前条(書証の申出等)第二項の規定による直送をするときは、同時に、その訳文についても直送をしなければならない。
2 相手方は、前項の訳文の正確性について意見があるときは、意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
(書証の写しの提出期間・
法第百六十二条
)
第百三十九条
法第百六十二条(準備書面等の提出期間)
の規定により、裁判長が特定の事項に関する書証の申出(文書を提出してするものに限る。)をすべき期間を定めたときは、当事者は、その期間が満了する前に、書証の写しを提出しなければならない。
(文書提出命令の申立ての方式等・
法第二百二十一条
等)
第百四十条
文書提出命令の申立ては、書面でしなければならない。
2 相手方は、前項の申立てについて意見があるときは、意見を記載した書面を裁判所に提出しなけれぱならない。
3
第九十九条(証拠の申出)
第二項及び前二項の規定は、
法第二百二十二条(文書の特定のための手続)
第一項の規定による申出について準用する。
(提示文書の保管・
法第二百二十三条
)
第百四十一条
裁判所は、必要があると認めるときは、
法第二百二十三条(文書提出命令等)
第三項前段の規定により提示された文書を一時保管することができる。
(受命裁判官等の証拠調べの調書)
第百四十二条
受命裁判官又は受託裁判官に文書の証拠調べをさせる場合には、裁判所は、当該証拠調べについての調書に記載すべき事項を定めることができる。
2 受命裁判官又は受託裁判官の所属する裁判所の裁判所書記官は、前項の調書に同項の文書の写しを添付することができる。
(文書の提出等の方法)
第百四十三条
文書の提出又は送付は、原本、正本又は認証のある謄本でしなければならない。
2 裁判所は、前項の規定にかかわらず、原本の提出を命じ、又は送付をさせることができる。
(録音テープ等の反訳文書の書証の申出があった場合の取扱い)
第百四十四条
録音テープ等を反訳した文書を提出して書証の申出をした当事者は、相手方がその録音テープ等の複製物の交付を求めたときは、相手方にこれを交付しなければならない。
(文書の成立を否認する場合における理由の明示)
第百四十五条
文書の成立を否認するときは、その理由を明らかにしなければならない。
(筆跡等の対照の用に供すべき文書等に係る調書等・
法第二百二十九条
)
第百四十六条
法第二百二十九条(筆跡等の対照による証明)
第一項に規定する筆跡又は印影の対照の用に供した書類の原本、謄本又は抄本は、調書に添付しなければならない。
2
第百四十一条(提示文書の保管)
の規定は、
法第二百二十九条
第二項において準用する
法第二百二十三条(文書提出命令等)
第一項の規定による文書その他の物件の提出について、
第百四十二条(受命裁判官等の証拠調べの調書)
の現定は、
法第二百二十九条
第二項において準用する
法第二百十九条(書証の申出)
、
第二百二十三条
第一項及び
第二百二十六条(文書送付の嘱託)
の規定により提出され、又は送付された文書その他の物件の取調べを受命裁判官又は受託裁判官にさせる場合における調書について準用する。
(文書に準ずる物件への準用・
法第二百三十一条
)
第百四十七条
第百三十七条
から前条まで(書証の申出等、訳文の添付等、書証の写しの提出期間、文書提出命令の申立ての方式等、提示文書の保管、受命裁判官等の証拠調べの調書、文書の提出等の方法、録音テープ等の反訳文書の書証の申出があった場合の取扱い、文書の成立を否認する場合における理由の明示及び筆跡等の対照の用に供すべき文書等に係る調書等)の規定は、特別の定めがある場合を除き、
法第二百三十一条(文書に準ずる物件への準用)
に規定する物件について準用する。
(写真等の証拠説明書の記載事頭)
第百四十八条
写真又は録音テープ等の証拠調べの申出をするときは、その証拠説明書において、撮影、録音、録画等の対象並びにその日時及び場所をも明らかにしなければならない。
(録音テープ等の内容を説明した書面の提出等)
第百四十九条
録音テープ等の証拠調べの申出をした当事者は、裁判所又は相手方の求めがあるときは、当該録音テープ等の内容を説明した書面(当該録音テープ等を反訳した書面を含む。)を提出しなければならない。
2 前項の当事者は、同項の書面について直送をしなければならない。
3 相手方は、第一項の書面における説明の内容について意見があるときは、意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。
第六節 検証
(検証の申出の方式)
第百五十条
検証の申出は、検証の目的を表示してしなければならない。
151条以下
に進む
目次
に戻る