第366条ノ2〔免責の申立〕
(1)破産者ハ破産手続ノ解止ニ至ル迄ノ間何時ニテモ破産裁判所ニ免責ノ申立ヲ為スコトヲ得破産宣告ト同時ニ破産廃止ノ決定アリタルトキハ其ノ決定確定ノ後ト雖1月内ハ仍免責ノ申立ヲ為スコトヲ得
(2)免責ノ申立ヲ為シタルトキハ強制和議ノ提供又ハ第347条ノ規定ニ依ル破産廃止ノ申立ヲ為スコトヲ得ズ
(3)強制和議ノ提供ヲ為シタルトキハ其ノ棄却若ハ不認可ノ決定ガ確定シ又ハ債権者集会ニ於テ強制和議ガ否決セラレタル後ニ非ザレバ免責ノ申立ヲ為スコトヲ得ズ
(4)第347条ノ規定ニ依ル破産廃止ノ申立ヲ為シタルトキハ其ノ棄却ノ決定ガ確定シタル後ニ非ザレバ免責ノ申立ヲ為スコトヲ得ズ
(5)破産者ガ其ノ責ニ帰スベカラザル事由ニ因リ第1項ノ規定ニ依ル免責ノ申立ヲ為スコト能ハザリシ場合ニ於テハ其ノ事由ノ止ミタル後1月内ニ限リ免責ノ申立ノ追完ヲ為スコトヲ得
第366条ノ3〔債権者名簿の提出〕
破産者ハ免責ノ申立ト同時ニ知レタル破産債権者ノ氏名及住所並破産債権ノ額及原因、別除権アルトキハ其ノ目的及其ノ行使ニ依リテ弁済ヲ受クルコト能ハザル債権額ヲ記載シタル債権者名簿ヲ提出スルコトヲ要ス申立ト同時ニ提出スルコト能ハザルトキハ爾後遅滞ナク之ヲ提出スルコトヲ要ス
第366条ノ4〔破産者の審尋〕
(1)免責ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ期日ヲ定メテ破産者ヲ審訊スルコトヲ要ス
(2)前項ノ期日ヲ定ムル決定ハ之ヲ公告シ且検察官、破産管財人及免責ノ効力ヲ受クベキ知レタル破産債権者ニ之ヲ送達スルコトヲ要ス
(3)前項ノ規定ハ第1項ノ期日ノ変更並審訊ノ延期及続行ニ之ヲ準用ス
(4)第238条但書及第239条ノ規定ハ前2項ノ規定ニ依ル決定ニ之ヲ準用ス
(5)第1項ノ期日ハ債権者集会又ハ債権調査ノ期日ト併合スルコトヲ妨ゲズ
第366条ノ5〔管財人の調査・報告〕
裁判所ハ破産管財人ヲシテ免責不許可ノ事由ノ有無ニ付調査ヲ為サシメ前条ノ審訊期日ニ於テ其ノ結果ヲ報告セシムルコトヲ得
第366条ノ6〔書類の備置き〕
裁判所ハ利害関係人ノ閲覧ニ供スル為免責ノ申立ニ関スル書類及前条ノ規定ニ依ル破産管財人ノ調査書類ヲ備ヘ置クコトヲ要ス
第366条ノ7〔面積申立に対する異議〕
(1)検察官、破産管財人又ハ免責ノ効力ヲ受クベキ破産債権者ハ第366条ノ4ノ審訊期日又ハ其ノ期日ニ於テ裁判所ガ定ムル1月以上ノ期間内ニ免責ノ申立ニ付裁判所ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得
(2)前項ノ期間ヲ定ムル決定ニ付其ノ言渡アリタルトキハ送達ヲ為スコトヲ要セズ
第366条ノ8〔意見聴取〕
異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ破産者及異議申立人ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第366条ノ9〔免責の不許可事由〕
裁判所ハ左ノ場合ニ限リ免責不許可ノ決定ヲ為スコトヲ得
1 破産者ニ第374条、第375条、第377条又ハ第382条ノ罪ニ該ルベキ行為アリト認ムルトキ
2 破産者ガ破産宣告前1年内ニ破産ノ原因タル事実アルニ拘ラズ其ノ事実ナキコトヲ信ゼシムル為詐術ヲ用ヒテ信用取引ニ因リ財産ヲ取得シタルコトアルトキ
3 破産者ガ虚偽ノ債権者名簿ヲ提出シ又ハ裁判所ニ対シ其ノ財産状態ニ付虚偽ノ陳述ヲ為シタルトキ
4 破産者ガ免責ノ申立前10年内ニ免責ヲ得タルコトアルトキ
5 破産者ガ本法ニ定ムル破産者ノ義務ニ違反シタルトキ
第366条ノ10〔免責申立の却下〕
(1)破産者ガ免責ノ審理ヲ為スベキ期日ニ正当ノ事由ナクシテ出頭セズ又ハ出頭スルモ陳述ヲ拒ミタルトキハ裁判所ハ免責ノ申立ヲ却下スルコトヲ得
(2)前項ノ場合ニ於テハ破産者ハ同一ノ破産ニ付再ビ免責ノ申立ヲ為スコトヲ得ズ
第366条ノ11〔免責決定の発効〕 免責ノ決定ハ確定ノ後ニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第366条ノ12〔免責の効力〕
免責ヲ得タル破産者ハ破産手続ニ依ル配当ヲ除キ破産債権者ニ対スル債務ノ全部ニ付其ノ責任ヲ免ル但シ左ニ掲グル請求権ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
1 租税
2 破産者ガ悪意ヲ以テ加ヘタル不法行為ニ基ク損害賠償
3 雇人ノ給料但シ一般ノ先取特権ヲ有スル部分ニ限ル
4 雇人ノ預リ金及身元保証金
5 破産者ガ知リテ債権者名簿ニ記載セザリシ請求権但シ債権者ガ破産ノ宣告アリタルコトヲ知リタル場合ヲ除ク
6 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金及過料
第366条ノ13〔保証人等に対する効果〕
免責ハ破産債権者ガ破産者ノ保証人其ノ他破産者ト共ニ債務ヲ負担スル者ニ対シテ有スル権利及破産債権者ノ為ニ供シタル担保ニ影響ヲ及ボサズ
第366条ノ14〔免責決定確定後の処置〕
免責ノ決定ガ確定シタルトキハ裁判所ハ其ノ主文ヲ公告シ債権表アルトキハ之ニ免責決定確定ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第366条ノ15〔免責の取消〕
詐欺破産ニ付破産者ニ対スル有罪ノ判決ガ確定シタルトキハ裁判所ハ破産債権者ノ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ免責取消ノ決定ヲ為スコトヲ得免責ガ破産者ノ不正ノ方法ニ因リテ得ラレタル場合ニ於テ破産債権者ガ免責後1年内ニ免責ノ取消ノ申立ヲ為シタルトキ亦同ジ
第366条ノ16〔取消前の意見聴取〕
裁判所ハ免責取消ノ裁判ヲ為ス前破産者及申立人ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第366条ノ17〔免責取消の発効〕
免責取消ノ決定ハ確定ノ後ニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第366条ノ18〔新債権者の優先〕
免責ノ取消アリタルトキハ免責後其ノ取消迄ノ間ニ生ジタル原因ニ基キ破産者ニ対シ債権ヲ有スルニ至リタル者ハ他ノ債権者ニ先チテ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
第366条ノ19〔取消の公告と債権表への記載〕
免責取消ノ決定ガ確定シタルトキハ裁判所ハ其ノ主文ヲ公告シ債権表アルトキハ之ニ免責取消決定確定ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第366条ノ20〔準用規定〕
第108条乃至第112条及第114条乃至第118条ノ規定ハ免責及免責取消ノ手続ニ之ヲ準用ス
第366条ノ21〔当然復権〕
(1)破産者ハ左ノ場合ニ於テハ復権ス
1 免責ノ決定ガ確定シタルトキ
2 強制和議認可ノ決定ガ確定シタルトキ
3 第347条ノ規定ニ依ル申立ニ基ク破産廃止ノ決定ガ確定シタルトキ
4 破産者ガ破産宣告後詐欺破産ノ罪ニ付有罪ノ確定判決ヲ受クルコトナクシテ10年ヲ経過シタルトキ
(2)免責取消又ハ強制和議取消ノ決定ガ確定シタルトキハ前項第1号又ハ第2号ノ規定ニ依ル復権ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フ
第367条〔申立による復権〕
(1)前条ノ規定ニ依リ復権ヲ得ザル破産者ガ弁済其ノ他ノ方法ニ因リ破産債権者ニ対スル債務ノ全部ニ付其ノ責任ヲ免レタルトキハ破産裁判所ハ破産者ノ申立ニ因リ復権ノ決定ヲ為スコトヲ要ス
(2)申立人ハ其ノ責任ヲ免レタルコトヲ証スル書面ヲ提出スルコトヲ要ス
第368条〔復権決定の発効〕
復権ノ決定ハ確定ノ後ニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス
第369条〔復権申立の公告等〕
裁判所ハ復権ノ申立アリタル旨ヲ公告シ且利害関係人ノ閲覧ニ供スル為其ノ申立ニ関スル書類ヲ備ヘ置クコトヲ要ス
第370条〔債権者の異議〕
破産債権者ハ前条ノ公告アリタル日ヨリ起算シテ3月内ニ復権ノ申立ニ付裁判所ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得
第371条〔意見聴取〕
異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ破産者及異議ヲ申立テタル破産債権者ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第372条〔復権決定の公告〕
復権ノ決定カ確定シタルトキハ裁判所ハ其ノ主文ヲ公告スルコトヲ要ス
第373条〔準用規定〕
第108条乃至第112条及第114条乃至第117条ノ規定ハ復権ノ手続ニ之ヲ準用ス