第185条〔財団財産の占有・管理〕
破産管財人ハ就職ノ後直ニ破産財団ニ属スル財産ノ占有及管理ニ著手スルコトヲ要ス
第186条〔封印〕
(1)破産管財人必要ト認ムルトキハ裁判所書記官、執行官又ハ公証人ヲシテ破産財団ニ属スル財産ニ封印ヲ為サシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ封印ヲ為シタル者ハ調書ヲ作ルコトヲ要ス
(2)前項ノ規定ハ封印除去ノ場合ニ之ヲ準用ス
第187条〔帳簿の閉鎖〕
裁判所書記官ハ破産宣告ノ後直ニ破産者ノ財産ニ関スル帳簿ヲ閉鎖シ之ニ署名捺印シ且調書ヲ作リ之ニ帳簿ノ現状ヲ記載スルコトヲ要ス但シ署名捺印ニ代ヘテ記名捺印スルコトヲ得
第188条〔評価〕
破産管財人ハ遅滞ナク裁判所書記官、執行官又ハ公証人ノ立会ヲ以テ破産財団ニ属スル一切ノ財産ノ価額ヲ評定スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ遅滞ノ虞アル場合ヲ除クノ外破産者ノ立会ヲ求ムルコトヲ要ス
第189条〔財産目録・貸借対照表〕
(1)破産管財人ハ財産目録及貸借対照表ヲ作ルコトヲ要ス
(2)破産管財人ハ財産目録及貸借対照表ノ謄本ニ署名捺印シ之ヲ裁判所ニ提出スルコトヲ要ス封印ニ関スル調書ニ付亦同シ
(3)前項ノ署名捺印ハ記名捺印ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
(4)利害関係人ハ第2項ニ規定スル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第190条〔郵便物等の管理〕
(1)裁判所ハ通信官署又ハ公衆通信取扱所ニ対シ破産者ニ宛テタル郵便物又ハ電報ヲ破産管財人ニ配達スヘキ旨ヲ嘱託スルコトヲ要ス
(2)破産管財人ハ其ノ受取リタル前項ノ郵便物又ハ電報ノ開披ヲ為スコトヲ得
(3)破産者ハ前項ノ郵便物又ハ電報ノ閲覧ヲ求メ且破産財団ニ関セサルモノノ交付ヲ求ムルコトヲ得
第191条〔管理の変更〕
(1)裁判所ハ破産者ノ申立ニ因リ破産管財人ノ意見ヲ聴キ前条第1項ノ嘱託ヲ取消シ又ハ之ヲ制限スルコトヲ得
(2)破産取消若ハ破産廃止ノ決定カ確定シタルトキ又ハ破産終結ノ決定アリタルトキハ裁判所ハ前条第1項ノ嘱託ヲ取消スコトヲ要ス
第192条〔扶助料の給与、営業の継続、高価品の保管方法〕
(1)第1回ノ債権者集会前ニ於テハ破産管財人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ破産者及之ニ扶養セラルル者ニ扶助料ヲ与ヘ又ハ破産者ノ営業ヲ継続スルコトヲ得
(2)貨幣、有価証券其ノ他ノ高価品ノ保管方法ハ裁判所之ヲ定ム
第193条〔管財人の報告〕
破産管財人ハ破産宣告ニ至リタル事情並破産者及破産財団ニ関スル経過及現状ニ付第1回ノ債権者集会ニ報告ヲ為スコトヲ要ス
第194条〔第1回集会の決議事項〕
第1回ノ債権者集会ニ於テハ扶助料ノ給与、営業ノ廃止又ハ継続及高価品ノ保管方法ニ付決議ヲ為スコトヲ要ス
第195条〔別除権の目的の開示・評価〕
(1)破産管財人ハ別除権者ニ対シ其ノ権利ノ目的タル財産ヲ示スヘキコトヲ求ムルコトヲ得
(2)破産管財人カ前項ノ財産ヲ評価セムトスルトキハ別除権者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第196条〔換価の時期〕
(1)一般ノ債権調査ノ終了前ニ於テハ破産管財人ハ破産財団ノ換価ヲ為スコトヲ得ス一般ノ債権調査ノ終了前強制和議ノ提供アリタル場合ニ於テ其ノ落著ニ至ル迄亦同シ
(2)破産財団ニ属スル財産ニシテ遅滞ナク之ヲ換価スルニ非サレハ破産財団ニ損害ヲ生スル虞アルモノハ前項ノ規定ニ拘ラス監査委員ノ同意、監査委員ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ破産管財人其ノ換価ヲ為スコトヲ得
第197条〔監査委員の同意を要する行為〕
破産管財人左ニ掲クル行為ヲ為スニハ監査委員ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但シ第7号乃至第14号ニ掲クル行為ニ付10万円以上ノ価額ヲ有スルモノニ関セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
1 不動産ニ関スル物権、登記スヘキ日本船舶及外国船舶ノ任意売却
2 鉱業権、漁業権、特許権、意匠権、実用新案権、回路配置利用権、著作権及著作隣接権ノ任意売却
3 営業ノ譲渡
4 商品ノ一括売却
5 借財
6 第9条第2項ノ規定ニ依ル相続抛棄ノ承認、第10条ノ規定ニ依ル包括遺贈抛棄ノ承認及第11条第1項ノ規定ニ依ル特定遺贈ノ抛棄
7 動産ノ任意売却
8 債権及有価証券ノ譲渡
9 第59条第1項ノ規定ニ依ル履行ノ請求
10 訴ノ提起
11 和解及仲裁契約
12 権利ノ抛棄
13 財団債権、取戻権及別除権ノ承認
14 別除権ノ目的ノ受戻
第198条〔監査委員の同意に代わる許可〕
(1)第1回ノ債権者集会前ニ於テ前条ノ規定ニ依リ監査委員ノ同意ヲ要スル行為ヲ為スノ必要アルトキハ破産管財人ハ裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス
(2)監査委員ヲ置カサル場合ニ於テハ破産管財人ハ債権者集会ノ決議ヲ経ルコトヲ要ス但シ急迫ノ必要アルトキハ裁判所ノ許可ヲ得ルヲ以テ足ル
第199条〔破産者の意見聴取〕
前2条ノ場合ニ於テ破産管財人ハ遅滞ノ虞アル場合ヲ除クノ外破産者ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第200条〔管財人の行為の中止命令〕
破産管財人カ第197条ニ掲クル行為ヲ為スニ付監査委員ノ同意ヲ得タルトキト雖裁判所ハ破産者ノ申立ニ因リ其ノ行為ノ執行ノ中止ヲ命シ且其ノ行為ニ関スル決議ヲ為サシムル為債権者集会ヲ招集スルコトヲ得
第201条〔善意の第三者の保護〕
破産管財人カ第196条乃至第198条ノ規定ニ違反シ又ハ前条ノ規定ニ依ル執行中止ノ命令ニ違反シタルトキト雖之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第202条〔換価方法〕
第197条第1号及第2号ニ掲クルモノノ換価ハ民事執行法其ノ他強制執行ノ手続ニ関スル法令ノ規定ニ依リテ之ヲ為ス
第203条〔別除権の目的の換価〕
(1)破産管財人ハ民事執行法其ノ他強制執行ノ手続ニ関スル法令ノ規定ニ依リ別除権ノ目的タル財産ノ換価ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ別除権者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
(2)前項ノ場合ニ於テ別除権者ノ受クヘキ金額カ未タ確定セサルトキハ破産管財人ハ代金ヲ別ニ寄託スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ別除権ハ代金ノ上ニ存ス
第204条〔別除権者の処分期間の指定〕
(1)別除権者カ法律ニ定メタル方法ニ依ラスシテ別除権ノ目的ヲ処分スル権利ヲ有スルトキハ裁判所ハ破産管財人ノ申立ニ因リ別除権者カ其ノ処分ヲ為スヘキ期間ヲ定ム
(2)別除権者カ前項ノ期間内ニ処分ヲ為ササルトキハ前項ノ権利ヲ失フ
第205条〔管財人の状況報告〕
破産管財人ハ債権者集会ノ定ムル所ニ依リ債権者集会又ハ監査委員ニ破産財団ノ状況ヲ報告スルコトヲ要ス
第206条〔寄託高価品の返還請求〕
(1)破産管財人カ其ノ寄託シタル貨幣、有価証券其ノ他ノ高価品ノ返還ヲ求ムルニハ監査委員ノ同意、監査委員ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス但シ債権者集会ニ於テ別段ノ決議ヲ為シタルトキハ其ノ決議ニ依ル
(2)破産管財人カ前項ノ規定ニ違反シタル場合ニ於テ受寄者カ善意ニシテ且過失ナキトキハ弁済ハ其ノ効力ヲ有ス
(3)前2項ノ規定ハ破産管財人カ受寄者ヲシテ支払其ノ他ノ給付ヲ為サシムル為証券ヲ発行スル場合ニ之ヲ準用ス
第207条〔破産法人の社員の出資義務〕
商法第126条ノ規定ハ法人カ破産ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ之ヲ準用ス
第208条乃至第224条〔相互保険会社の社員の責任額取立手続〕
削除〔昭27法173〕
第225条〔匿名組合員の出資義務〕
匿名組合契約カ営業者ノ破産ニ因リテ終了シタルトキハ破産管財人ハ匿名組合員カ負担スヘキ損失ノ額ヲ限度トシテ出資ヲ為サシムルコトヲ得
第226条〔相続人の破産と相続財産の処分〕
(1)相続人カ破産ノ宣告ヲ受ケタル後限定承認ヲ為シタルトキ又ハ財産分離アリタルトキハ相続財産ノ処分ハ破産管財人之ヲ為スコトヲ要ス限定承認又ハ財産分離アリタル後相続人カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキ亦同シ
(2)破産管財人カ前項ノ処分ヲ終ヘタルトキハ残余財産ニ付破産財団ノ財産目録及貸借対照表ヲ補充スルコトヲ要ス
(3)前2項ノ規定ハ包括受遺者カ破産ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ之ヲ準用ス
第227条〔限定承認と前条の準用〕
前条ノ規定ハ第8条又ハ第9条第1項ノ規定ニ依リ限定承認ノ効力ヲ有スル場合ニ之ヲ準用ス
第228条〔債権の届出〕
(1)破産債権者ハ裁判所ノ定メタル期間内ニ其ノ債権ノ額及原因、一般ノ先取特権其ノ他一般ノ優先権アルトキハ其ノ権利、第46条ニ掲グル請求権ヲ含ムトキハ其ノ区分ヲ裁判所ニ届出テ且証拠書類又ハ其ノ謄本若ハ抄本ヲ提出スルコトヲ要ス
(2)別除権者ハ前項ニ規定スル事項ノ外別除権ノ目的及其ノ行使ニ依リテ弁済ヲ受クルコト能ハサルヘキ債権額ヲ届出ツルコトヲ要ス
(3)破産債権ニ付破産宣告ノ当時訴訟カ繋属スルトキハ第1項ニ規定スル事項ノ外裁判所、件名及番号ヲ届出ツルコトヲ要ス
第229条〔債権表の作成〕
(1)裁判所書記官ハ債権表ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
1 債権者ノ氏名及住所
2 債権ノ額及原因
3 優先権アルトキハ其ノ権利、第46条ニ掲グル請求権ヲ含ムトキハ其ノ区分
4 別除権者カ前条第2項ノ規定ニ依リテ届出テタル債権額
(2)裁判所書記官ハ債権表ノ謄本ヲ破産管財人ニ交付スルコトヲ要ス
第230条〔債権届出書類と債権表の備置き〕
債権ノ届出ニ関スル書類及債権表ハ利害関係人ノ閲覧ニ供スル為之ヲ裁判所ニ備ヘ置クコトヲ要ス
第231条〔債権調査の対象〕
債権調査ノ期日ニ於テハ届出アリタル各債権ニ付第229条第1項ニ掲クル事項ヲ調査ス
第232条〔調査期日の出頭者〕
(1)破産者ハ債権調査ノ期日ニ出頭シテ意見ヲ述フルコトヲ要ス但シ正当ノ事由アルトキハ代理人ヲ出頭セシムルコトヲ得
(2)届出ヲ為シタル破産債権者又ハ其ノ代理人ハ債権調査ノ期日ニ出頭シテ意見ヲ述フルコトヲ得代理人ハ代理権ヲ証スル書面ヲ提出スルコトヲ要ス
第233条〔管財人の出頭〕
債権ノ調査ハ破産管財人出頭スルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
第234条〔期間後に届け出られた債権の調査〕
(1)期間後ニ届出アリタル債権ニ付テハ破産管財人及破産債権者ノ異議アル場合ヲ除クノ外債権調査ノ一般期日ニ於テ其ノ調査ヲ為スコトヲ得
(2)破産管財人又ハ破産債権者ノ異議アリタルトキハ裁判所ハ前項ノ債権ノ調査ヲ為ス為特別期日ヲ定ムルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ費用ハ期間後ニ届出ヲ為シタル破産債権者ノ負担トス
第235条〔届出の変更〕
前条ノ規定ハ破産債権者カ届出テタル事項ニ付届出期間後他ノ破産債権者ノ利益ヲ害スヘキ変更ヲ加ヘタル場合ニ之ヲ準用ス
第236条〔一般期日後に届け出られた債権の調査〕
第234条第2項ノ規定ハ破産債権者カ債権調査ノ一般期日後ニ債権ノ届出ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第237条〔債権調査の特別期日の公告〕
債権調査ノ特別期日ヲ定ムル決定ハ之ヲ公告シ且破産管財人、破産者及届出ヲ為シタル破産債権者ニ之ヲ送達スルコトヲ要ス
第238条〔期日の変更・延期・続行の公告〕
前条ノ規定ハ債権調査ノ期日ノ変更並債権調査ノ延期及続行ニ之ヲ準用ス但シ言渡アリタルトキハ公告及送達ヲ為スコトヲ要セス
第239条〔不服申立の不許〕
前2条ノ規定ニ依ル決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第240条〔債権の確定〕
(1)債権調査ノ期日ニ於テ破産管財人及破産債権者ノ異議ナカリシトキハ債権ノ額、優先権及第46条ニ掲グル請求権ノ区分ハ之ニ因リテ確定ス
(2)破産者カ異議ヲ述ヘタル債権ニ付破産宣告ノ当時訴訟カ繋属スルトキハ債権者ハ破産者ヲ相手方トシテ之ヲ受継クコトヲ得
第241条〔債権表への記載〕
(1)裁判所ハ債権調査ノ結果ヲ債権表ニ記載スルコトヲ要ス破産者ノ述ヘタル異議亦同シ
(2)裁判所書記官ハ確定シタル債権ノ証書ニ確定ノ旨ヲ記載シ裁判所ノ印ヲ押捺スルコトヲ要ス
第242条〔債権表記載の効力〕
確定債権ニ付テハ債権表ノ記載ハ破産債権者ノ全員ニ対シ確定判決ト同一ノ効力ヲ有ス
第243条〔異議の通知〕
(1)破産債権者カ債権調査ノ期日ニ出頭セサル場合ニ於テ其ノ債権ニ付異議アリタルトキハ裁判所ハ之ヲ其ノ債権者ニ通知スルコトヲ要ス
(2)第118条第1項ノ規定ハ前項ノ通知ニ之ヲ準用ス
第244条〔債権確定の訴え〕
(1)異議アル債権ニ付テハ其ノ債権者ハ異議者ニ対シ訴ヲ以テ其ノ債権ノ確定ヲ求ムルコトヲ得
(2)異議者数人アルトキハ之ヲ共同被告トス破産者カ異議者ノ1人ナルトキ亦同シ
(3)裁判所ハ債権者ニ其ノ債権ニ関スル債権表ノ抄本ヲ交付スルコトヲ要ス
第245条〔前条の訴の管轄〕
債権確定ノ訴ハ破産裁判所ノ管轄ニ専属ス
第246条〔異議ある債権に関する訴訟の受継〕
(1)異議アル債権ニ付破産宣告ノ当時訴訟カ繋属スル場合ニ於テ債権者カ其ノ債権ノ確定ヲ求メムトスルトキハ異議者ヲ相手方トシテ訴訟ヲ受継クコトヲ要ス
(2)第244条第2項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第247条〔請求原因の制限〕
破産債権者ハ第241条第1項ノ規定ニ依リ債権表ニ記載シタル事項ニ付テノミ債権確定ノ訴ヲ提起シ又ハ第240条第2項若ハ前条ノ規定ニ依リ訴訟ヲ受継クコトヲ得
第248条〔有名義債権に対する異議主張〕
(1)執行力アル債務名義又ハ終局判決アル債権ニ付テハ異議者ハ破産者カ為スコトヲ得ヘキ訴訟手続ニ依リテノミ其ノ異議ヲ主張スルコトヲ得
(2)第244条第2項第3項、第246条及前条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第249条〔債権確定訴訟結果の記載〕
裁判所ハ破産管財人又ハ破産債権者ノ申立ニ因リ債権ノ確定ニ関スル訴訟ノ結果ヲ債権表ニ記載スルコトヲ要ス
第250条〔債権確定訴訟の判決の効力〕
債権ノ確定ニ関スル訴訟ニ付為シタル判決ハ破産債権者ノ全員ニ対シテ其ノ効力ヲ有ス
第251条〔訴訟費用の償還〕
破産財団カ債権ノ確定ニ関スル訴訟ニ因リテ利益ヲ受ケタルトキハ異議ヲ主張シタル破産債権者ハ其ノ利益ノ限度ニ於テ財団債権者トシテ訴訟費用ノ償還ヲ請求スルコトヲ得
第252条〔債権確定訴訟の訴額〕
債権ノ確定ニ関スル訴訟ノ目的ノ価額ハ配当ノ予定額ヲ標準トシ受訴裁判所之ヲ定ム
第253条〔附帯私訴の特例〕
削除〔昭27法173〕
第254条〔罰金・科料等の届出〕
(1)第46条第4号ニ掲クル請求権ニ付テハ国又ハ公共団体ハ遅滞ナク其ノ額及原因ヲ裁判所ニ届出ツルコトヲ要ス
(2)第241条第1項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ届出アリタル請求権ニ付之ヲ準用ス
第255条〔管財人への通知〕
(1)前条第1項ノ規定ニ依リ届出アリタル請求権ノ原因カ審査請求其ノ他ノ不服申立又ハ訴訟ヲ為スコトヲ得ヘキ処分ナルトキハ裁判所ハ遅滞ナク其ノ請求権ノ額及原因ヲ破産管財人ニ通知スルコトヲ要ス
(2)第248条乃至第250条ノ規定ハ破産管財人カ異議ヲ主張スル場合ニ之ヲ準用ス
第256条〔配当時期〕
一般ノ債権調査終了後ニ於テハ破産管財人配当スルニ適当ナル金銭アリト認ムル毎ニ遅滞ナク配当ヲ為スコトヲ要ス
第257条〔監査委員の同意と裁判所の許可〕
破産管財人配当ヲ為スニハ監査委員ノ同意、監査委員ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス
第258条〔配当表の作成〕
(1)破産管財人ハ配当表ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
1 配当ニ加フヘキ債権者ノ氏名及住所
2 配当ニ加フヘキ債権ノ額
3 配当スルコトヲ得ヘキ金額
(2)配当ニ加フヘキ債権ハ優先権ノ有無ニ依リテ之ヲ区別シ優先権アルモノニ付テハ其ノ順位ニ従ヒ優先権ナキモノニ付テハ第46条ノ規定ニ依リ他ノ債権ニ後ルルモノヲ其ノ他ノモノト区別シテ之ヲ記載スルコトヲ要ス
第259条〔配当表の提出〕
破産管財人ハ利害関係人ノ閲覧ニ供スル為配当表ヲ裁判所ニ提出スルコトヲ要ス
第260条〔配当額等の公告〕
破産管財人ハ配当ニ加フヘキ債権ノ総額及配当スルコトヲ得ヘキ金額ヲ公告スルコトヲ要ス
第261条〔異議ある債権の除斥〕
異議アル債権ニ付テハ債権者カ配当ノ公告アリタル日ヨリ起算シテ2週間内ニ破産管財人ニ対シ其ノ債権ノ確定ニ関スル訴ノ提起又ハ訴訟ノ受継ヲ為シタルコトヲ証明セサルトキハ其ノ配当ヨリ除斥セラル
第262条〔別除権者の除斥〕
別除権者カ前条ニ定ムル除斥期間内ニ破産管財人ニ対シ其ノ権利ノ目的ノ処分ニ著手シタルコトヲ証明シ且其ノ処分ニ依リテ弁済ヲ受クルコト能ハサルヘキ債権額ヲ疏明セサルトキハ配当ヨリ除斥セラル
第263条〔配当表の更正〕
左ノ場合ニ於テハ破産管財人ハ直ニ配当表ヲ更正スルコトヲ要ス
1 債権表ヲ更正スヘキ事由カ除斥期間内ニ生シタルトキ
2 前2条ニ定ムル事項ノ証明及疏明アリタルトキ
3 別除権者カ除斥期間内ニ破産管財人ニ対シ其ノ権利抛棄ノ意思ヲ表示シ又ハ其ノ権利ノ行使ニ依リテ弁済ヲ受クルコト能ハサリシ債権額ヲ証明シタルトキ
第264条〔配当表に対する異議〕
(1)債権者ハ配当表ニ対シ除斥期間経過ノ後1週間内ニ限リ裁判所ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得
(2)裁判所カ配当表ノ更正ヲ命シタルトキハ其ノ決定書ハ利害関係人ノ閲覧ニ供スル為之ヲ備ヘ置クコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ抗告期間ハ決定書ヲ備ヘタル日ヨリ之ヲ起算ス
第265条〔配当率の決定・通知〕
(1)破産管財人ハ前条第1項ニ定ムル期間経過シタル後、異議ノ申立アリタルトキハ其ノ決定アリタル後遅滞ナク配当率ヲ定メ配当ニ加フヘキ各債権者ニ対シテ其ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
(2)配当率ヲ定ムルニハ監査委員ノ同意、監査委員ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス
第266条〔解除条件付債権者の配当受領〕
解除条件附債権ヲ有スル者ハ相当ノ担保ヲ供スルニ非サレハ配当ヲ受クルコトヲ得ス
第267条〔強制和議と配当中止〕
強制和議ノ提供アリタルトキハ裁判所ハ破産管財人カ未タ配当率ノ通知ヲ発セサル場合ニ限リ提供者ノ申立ニ因リ其ノ配当ノ中止ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ公告スルコトヲ要ス
第268条〔配当手続の続行〕
前条ノ規定ニ依リ配当ノ中止ヲ命シタル場合ニ於テ強制和議ノ提供ノ棄却若ハ其ノ不認可ノ決定カ確定シタルトキ又ハ債権者集会ニ於テ強制和議ヲ否決シタルトキハ裁判所ハ配当手続ヲ続行スヘキコトヲ命ス此ノ場合ニ於テハ其ノ旨ヲ公告スルコトヲ要ス
第269条〔配当の方法〕
(1)債権者ハ破産管財人ニ就キ配当ヲ受クルコトヲ要ス
(2)破産管財人カ配当ヲ為シタルトキハ債権表及債権ノ証書ニ配当シタル金額ヲ記入シ之ニ記名捺印スルコトヲ要ス
第270条〔前に除斥された者の優先〕
第261条又ハ第262条ニ定ムル事項ヲ証明又ハ疏明セサルニ因リテ配当ヨリ除斥セラレタル債権者カ後ノ配当ニ関スル除斥期間内ニ其ノ証明又ハ疏明ヲ為シタルトキハ前ノ配当ニ於テ受クヘカリシ額ニ付他ノ同順位ノ債権者ニ先チテ配当ヲ受クルコトヲ得
第271条〔配当額の寄託〕
左ニ掲クル債権ニ対スル配当額ハ破産管財人之ヲ寄託スルコトヲ要ス
1 第244条、第246条又ハ第248条ノ規定ニ依リ異議アル債権ニ付訴ノ提起又ハ訴訟ノ受継アリタルモノ
2 配当率ノ通知ヲ発スル前ニ審査請求其ノ他ノ不服申立ノ手続又ハ訴訟ノ落著セサル債権
3 第262条ノ規定ニ依リ別除権者カ疏明シタル債権額
4 停止条件附債権及将来ノ請求権
5 第266条ノ規定ニ依リ担保ヲ供セサル場合ニ於ケル解除条件附債権
第272条〔最後配当の許可〕
破産管財人最後ノ配当ヲ為スニハ監査委員ノ同意アリタルトキト雖裁判所ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス
第273条〔最後配当の除斥期間〕
最後ノ配当ニ関スル除斥期間ハ配当ノ公告アリタル日ヨリ起算シテ2週間以上1月内ニ於テ裁判所之ヲ定ム此ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第274条〔最後配当額の決定・通知〕
最後ノ配当ニ在リテハ破産管財人ハ配当表ニ対スル異議落著ノ後遅滞ナク各債権者ニ対スル配当額ヲ定メ其ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
第275条〔停止条件付債権の除斥〕
停止条件附債権又ハ将来ノ請求権カ最後ノ配当ニ関スル除斥期間内ニ之ヲ行使スルコトヲ得ルニ至ラサルトキハ其ノ債権者ハ配当ヨリ除斥セラル
第276条〔解除条件付債権の無条件支払〕
解除条件附債権ノ条件カ最後ノ配当ニ関スル除斥期間内ニ成就セサルトキハ第266条ノ規定ニ依リテ供シタル担保ハ其ノ効力ヲ失ヒ第271条第5号ノ規定ニ依リテ寄託シタル金額ハ之ヲ其ノ債権者ニ支払フコトヲ要ス第101条ノ規定ニ依リテ供シタル担保又ハ寄託シタル金額亦同シ
第277条〔別除権者の除斥〕
別除権者カ最後ノ配当ニ関スル除斥期間内ニ破産管財人ニ対シ其ノ権利抛棄ノ意思ヲ表示セス又ハ其ノ権利ノ行使ニ依リテ弁済ヲ受クルコト能ハサリシ債権額ヲ証明セサルトキハ配当ヨリ除斥セラル
第278条〔寄託金の配当〕
第275条又ハ前条ノ規定ニ依リテ除斥セラレタル債権者ノ為ニ寄託シタル金額ハ之ヲ他ノ債権者ニ配当スルコトヲ要ス第100条ノ規定ニ依リテ寄託シタル金額亦同シ
第279条〔配当表の更正〕
配当額ノ通知ヲ発スル前新ニ配当ニ充ツヘキ財産アルニ至リタルトキハ破産管財人ハ遅滞ナク配当表ヲ更正スルコトヲ要ス
第280条〔配当額の供託〕
左ニ掲クル配当額ハ債権者ノ為破産管財人之ヲ供託スルコトヲ要ス
1 第271条第1号又ハ第2号ノ規定ニ依リ寄託シタル配当額
2 配当額ノ通知ヲ発スル前ニ訴訟又ハ審査請求其ノ他ノ不服申立ノ手続ノ落著セサル債権ニ対スル配当額
3 債権者カ受取ラサル配当額
第281条〔計算報告の債権者集会〕
計算報告ノ為ニ招集シタル債権者集会ニ於テハ破産管財人カ価値ナキ為換価セサリシ財産ノ処分ニ付決議ヲ為スコトヲ要ス
第282条〔破産終結決定〕
(1)債権者集会終結シタルトキハ裁判所ハ破産終結ノ決定ヲ為シ且其ノ主文及理由ノ要領ヲ公告スルコトヲ要ス
(2)前項ノ決定ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第283条〔追加配当〕
(1)配当額ノ通知ヲ発シタル後新ニ配当ニ充ツヘキ相当ノ財産アルニ至リタルトキハ破産管財人ハ裁判所ノ許可ヲ得テ追加配当ヲ為スコトヲ要ス破産終結ノ決定アリタル後ト雖亦同シ
(2)破産管財人追加配当ノ許可ヲ得タルトキハ遅滞ナク配当スルコトヲ得ヘキ金額ヲ公告シ且各債権者ニ対スル配当額ヲ定メ其ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
第284条〔追加配当の基準〕
追加配当ハ最後ノ配当ニ付作リタル配当表ニ依リテ之ヲ為ス
第285条〔追加配当の計算報告〕
破産管財人追加配当ヲ為シタルトキハ遅滞ナク計算報告書ヲ作リ之ヲ裁判所ニ提出シテ其ノ認可ヲ申請スルコトヲ要ス
第286条〔管財人に知れない財団債権者〕
配当率又ハ配当額ノ通知ヲ発スル前破産管財人ニ知レサル財団債権者ハ各配当ニ於テ配当スヘキ金額ヲ以テ弁済ヲ受クルコトヲ得ス
第287条〔確定債権の債権表記載の効力〕
(1)確定債権ニ付テハ破産者カ債権調査ノ期日ニ於テ其ノ債権ニ対シテ異議ヲ述ヘサリシ場合ニ限リ債権表ノ記載ハ破産者ニ対シ確定判決ト同一ノ効力ヲ有ス
(2)債権者ハ破産終結ノ後債権表ノ記載ニ因リテ強制執行ヲ為スコトヲ得
第288条〔破産者の異議の追完〕
(1)破産者カ其ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リ債権調査ノ期日ニ出頭スルコト能ハサリシトキハ其ノ事由ノ止ミタル日ヨリ1週間内ニ限リ異議ヲ追完スル為破産裁判所ニ原状回復ノ申立ヲ為スコトヲ得
(2)裁判所ハ職権ヲ以テ破産者ノ異議アル債権ノ債権者ニ原状回復ノ申立書ヲ送達スルコトヲ要ス
(3)裁判所原状回復ヲ許シタルトキハ破産者カ債権調査ノ期日ニ於テ異議ヲ述ヘタルト同一ノ効力ヲ生ス此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ債権表ニ異議ノ記載ヲ為スコトヲ要ス
第289条〔相続債権者・受遺者の権利〕
相続財産ニ対シテ破産ノ宣告アリタル場合ニ於テ最後ノ配当ヨリ除斥セラレタル相続債権者及受遺者ハ残余財産ニ付其ノ権利ヲ行フコトヲ得