最二判昭和23年4月17日 民集2巻4号104頁


(判旨)

「本件記録に依れば原裁判所が当事者双方の出頭した昭和22年10月28日午前10時の口頭弁論期日に於て弁論を終結し判決言渡期日を同年11月15日午前10時と指定告知した所、其の後同年11月11日上告人から口頭弁論再開申請書の提出があったが、原裁判所は敢て弁論の再開(弁論再開の決定)を為さずして右期日に当事者双方不出頭のまま期日を開始した上、判決言渡期日を昭和22年12月11日午前10時と変更指定し当事者双方には右期日の口頭弁論期日呼出状を送達した。而して右変更指定された期日には当事者双方出廷の上判決の言渡を為したことが明らかである。
 そこで、上告理由は既掲の如く甚だ簡単であるが之を勘案するに、其の前段は口頭弁論の再開申請をしたのに再開せずして判決の言渡を為したのは、証拠及び抗弁の提出を不当に制限したものであつて違法であるという趣旨と解される。然し閉じたる弁論の再開を命ずると否とは裁判所の専権事項であることは民事訴訟法第133条に依つて明らかな所であり、従つて当事者の弁論再開の申請は単に裁判所の右専権の発動を促さんとするだけのものと解すべきである。 従つて一度事件が裁判を為すに熟するものと認めて弁論を終結した後に於ては、仮令当事者が弁論再開の申請を為しても裁判所が之を採用しないからとて毫も違法の処置とは云ふことを得ない。然らば此の為め上告人の所謂新規の証拠及び抗弁等の提出が出来なかつたとしても民事訴訟法第137条の規定に明らかなる如く裁判所は之等の提出を不当に制限したものとはならないのである。従つて此の点の上告理由は理由がない。(以下略)」

参考判例

 

判例評釈・解説


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