東京高決平成11年9月3日

文書提出命令却下決定に対する抗告許可申立てが認容された例 


(事実)

 基本事件はいわゆる遠藤国賠訴訟の控訴審である。ひき逃げの容疑で起訴され、一、二審有罪判決を受けたが、最高裁で逆転無罪判決を受けたXが国および担当起訴検事、一、二審裁判官個人に対して国家賠償および損害賠償を請求するもので、起訴に足る資料がないのに起訴した違法を問うなかでひき逃げ当時の検問表が検察官に送付されていなかった事実を立証するために、控訴審において証拠送付記録の提出を求めた。裁判所は二度にわたってこの提出命令申立てを却下したので、Xが抗告許可を申し立てた。(第二次却下決定参照)

 許可抗告申立理由は要するに、文書提出義務の解釈において内部文書が提出義務を免れるかどうか、特に本件の捜査資料が捜査・公訴提起等の違法を主張する国賠訴訟で法律関係文書に該当するかどうかをめぐって裁判例の対立があり、本件決定の判断は重要な法解釈を誤り違法であることにある。


(決定文) 

申立人は、当庁平成11年(ウ)第541号文書提出命令申立事件について、 当裁判所が平成11年8月2日にした決定に対し、抗告許可の申立てをした。申立人の平成11年8月8日付け抗告許可申立書及び同月31日付け抗告許可申立理由書に記載された申立ての理由によれば、右決定には、 民事訴訟法337条2項の所定の事項が含まれると認められる。
 よって、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

 抗告を許可する。

平成11年9月3日

東京高等裁判所第9民事部
裁判長裁判官 塩崎勤
 裁判官 小林正
 裁判官 萩原秀紀


最高裁判所平成13年7月13日決定
町村泰貴
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