大判昭和11年3月11日民集15巻977頁

百選39

(事実)

 株式の取引をAがBに委託し、Aの損失28余円をBが立て替えたままBは破産し、破産管財人XがAに対して其の支払を求める訴えを提起した。ところがAは訴え提起の2年前に死亡し、家督相続をYがなし、Xの訴状はAの妻Cが同居人として受領したが、欠席のためX勝訴の一審判決が下された。判決送達にXはYへの受継を申立るとともに控訴を提起して、一審裁判所への差戻しを求めた。

 原審は訴えを不適法とし、既に一審判決が下された後には訴状の補正もできないとして訴えを却下した。X上告。


(判旨)

原判決破棄、一審判決取消差戻

 「本訴ニ於ケル実質上ノ被告ハ即被上告人Yニシテ只其ノ表示ヲ誤リタルニ過ギザルモノト解スルヲ相当トス。故ニ同裁判所ハ宜シク民事訴訟法第352条第224条第228条ニ則リ訴状ニ於ケル被告ノ表示ヲYト訂正セシメ、尚同人ハ未成年者ナルヲ以テ其ノ法定代理人ヲ既済セシメタル上訴訟手続ヲ進行セシムベキモノナル・・・」


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