大判昭和10年10月28日民集14巻1785頁

百選38

(事実)

 本件被告Yは、Xらに対して訴外会社株式の払込請求の訴えを提起して、大正12年12月12日にY勝訴判決が確定した。Yがこの判決に基づく強制執行に着手したところ、Xらは再審の訴えを提起して、前訴のX側訴訟代理人Aに訴訟委任したことはなく、訴外Bが委任状を偽造してXらの名義でA弁護士に訴訟行為をさせたものであると主張した。

 原審は前訴判決の既判力がXらに及ばないので再審の訴えによる救済の必要がないとして棄却した。


(判旨)

破棄差戻

 「他人ノ氏名ヲ冒用シテ訴訟ヲ為ス者アル場合ニ於テ、訴訟行為ガ冒用者ノ行為トシテ為サレ訴訟ノ判決ガ其ノ冒用者ニ対シテ言渡サレタルトキハ、其ノ効力ハ冒用者ニ及ビ被冒用者ニ及ブコトナシト雖モ、訴訟当事者ノ氏名ヲ冒用シ当事者名義ノ委任状ヲ偽造シテ訴訟代理人ヲ選任シ被冒用者名義ヲ以テ訴訟行為ヲ為サシメ、裁判所モ之ニ気付カズシテ被冒用者ニ対シ判決ヲ言イ渡シタルトキハ、其ノ被冒用者ハ訴訟当事者トナリタルモノナレバ、判決ノ既判力ハ冒用者ニ及バズシテ被冒用者ニ及ブモノト謂ハザルヲ得ズ。従テ被冒用者ハ判決ノ確定前ニ在テハ上訴ニ依リテ之ガ取消ヲ求ムルコトヲ得ベク、確定後ニ在テハ民訴法第420条第3号ニヨリ再審ノ訴ヲ起スコトヲ得ベキモノトス。」


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