最判昭和61年7月10日判時1213号83頁



(事実)


 Xは区分所有マンションの住民であるところ、マンション管理組合法人Yおよびその他の住民が共用部分に飾り窓の据え付け工事を行ったため、その撤去を求めて訴えを提起した。

 原審は被告Yに撤去権限がないことから、被告適格を欠くとして訴えを却下した。

 X上告。

[判旨]上告棄却

  本件記録によれば、原審は、本件部屋に対する所有権に基づく本件設備の撤去請求について、Yらには本件設備を撤去する権限がないから被告適格を欠く不適法な訴えであるとしてこれを却下したが、給付の訴えにおいては、その訴えを提起する者が給付義務者であると主張している者に被告適格があり、その者が当該給付義務を負担するかどうかは本案請求の当否にかかわる事柄であると解すべきであるから、Xの右訴えは、適法なものというべきであり、したがってこれを却下した原判決は違法である。 しかしながら、Xは、右訴えの請求原因として、Yらは本件壁面の外側に本件設備を設置したから本件設備を撤去すべき義務があると主張し、原審は、右訴えを却下するにあたり、Yらが右義務を負う前提として本件設備に対する処分権限を有するか否かについて当事者に主張立証を尽くさせ、審理を遂げているというべきであるから、このような場合においては、当審としては、右請求について原判決を破棄し、事件を原審裁判所に差し戻す必要はなく、その請求の当否について直ちに判断をすることが許されるものと解するのが相当である。そして、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、Yらに本件設備を撤去すべき義務がなく、右請求が理由のないものであることは明らかであり、これを棄却すべきこととなるが、その結論は原判決よりもXに不利益となり、民訴法三九六条 三八五条 により、原判決をXに不利益に変更することは許されないので、当裁判所は原判決の結論を維持して上告を棄却するにとどめるほかなく、結局、原判決の前示の違法はその結論に影響を及ぼさないこととなる。論旨は、採用することができない。


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