債権者が手形金等の金銭請求にあわせ、取立費用として弁護士費用等の支払も債務不履行による損害賠償の一部として請求したが、原審はこれを退けた。
「民法419条によれば、金銭を目的とする債務の履行遅滞による損害賠償の額は、法律に別段の定めがある場合を除き、約定または法定の利率により、債権者はその損害の証明をする必要がないとされているが、その反面として、たとえそれ以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求することはできないものというべく、したがって、債権者は、金銭債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求することはできないと解するのが相当である。これと同旨に出た原審の判断は正当として是認することができ、右判断の過程に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。」