最判昭和36年3月24日民集15巻3号542頁



 原判決は、判示甲の板垣の存する172番19の土地の東の部分約15坪は被上告人Xが所有者Aから賃借し耕作占有しているのであるが、この賃借については、農地関係法令所定の許可を得ていないから無効であるけれども、占有権がある以上民法198条により妨害排除を求める権利があり上告人Yの設置した右板垣の撤去を求めることができると判示する。しかし、被上告人Xは終始賃借権に基き右板垣の撤去を求めていることは記録上明白であり、本訴は占有の訴ではないことも明らかであるにかかわらず、同被上告人主張の賃借権を否定しながら、同被上告人の主張していない占有権を理由として上告人に右板垣の撤去を命じたことは当事者の申立てざる事項につき判決をした違法があるものといわねばならない。


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